| サングラスをかけたブタのイラストで有名(?)な「THE SWINGIN' PIG」レーベルから1989年に発売された、遡ること20年前の1969年1月9日にスウェーデンはストックホルムで行われた2ステ−ジを完全収録したブートだ。最初に言っておくと、音質はかなりGOOD。ちょっと手を加えれば、オフィシャルとして十分発表できるくらい。ジャケットはショボイけど。
DISC ONE19:00 start - FIRST SHOW
それでは、19:00にスタートした1st ステージ(DISC ONE)から。「みんな用意はいいか?」「イェー!!」「それではエレクトリック・チャーチ・ミュージックのお時間だ。THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE!」というMCの後、おきまりの「Hello How are you doing?」で登場。しばしのチューニング後、小ぎみのいいカッティングから「Killing Floor」へ突入。この日の「Killing Floor」は必聴!タイトルを『ON THE KILLING FLOOR』とするだけあって、かなり自身を持ってお勧めできる。テンポや雰囲気は、ウインターランド系。7:36という時間からも想像がつくように、見事なジャムをじっくり聴かせてくれている。
続く「Spanish Castle Magic」は、ソロに入るまでは定石通りといった演奏だが、やはりソロでは加速度的にテンションが上がっていくのがよく分かる。ノエルのベースも通り一辺倒ではなく細かくアレンジを加えていて、ジミをうまく乗せているといった感じだ。ミッチ?叩いてますよ。蜂の巣攻撃だ。この3人のかけあいは、ロイヤル・アルバート・ホールの「Stone Free」を彷彿させるものがあるぞ。あそこまで「どこ行っちゃうの?!」状態にはなってないけど。そして、この「どこ行っちゃうの?!」状態になれないこの日のテンションが、どうやらその後も続いてしまうのが残念。
ちょっと元気のない形で始まる「Fire」は、途中お得意のマイクこすりつけプレイを見せているものの、何となく力不足。間髪いれず「Hey Joe」へ。この演奏もイマイチ乗りきれてない。リフ中でのオカズも少なく、当たり障りのないプレイに終始している。
ジミとノエルの「次の曲は何にする?」というやりとりの結果、ノエルのリクエストで「Voodoo Child」。これも何だかな〜っていうノリ。ジミは完全に惰性で歌い、弾いてる感じだ。ソロでも指が上手く動いてない。ノエルの方は気合が入っており、時々ノエルのフレーズに流されてしまうほど。お互いがいいテンションで引き込み合うときは相乗効果で、バンド全体が盛り上がってくるけど、一方だけが流されるというのは乗せた本人(ノエル)も辛い。おいおいもうそろそろ帰ってくんないかなってことになる。まあ、さすがのジミは長居はしないけど。そんなだから、後半はこれもコンディションが悪い時のおきまりで、抜き足忍び足で見事にフェイド・アウトしてしまう。残されたノエルとミッチの時間潰し作戦もむなしく、ジミさんもフェイド・アウト。仕方なく(?)、ミッチのドラムソロへと半ば強引に繋ぐと、ようやく戻ってくるジミ。「オレは腐ったミカンなんかじゃね〜!」といった風情で懸命にアウトロにダッシュをかけるが、一度落ちた人間、そう易々とは戻れないのが世の常と言わんばかりに、このテンションも長続きがしない。
その後の「Red House」−「Sunshine Of Your Love」。これもテンポはジミのテンションに合っているものの、いかんせん中身がスカスカ。いや〜、1stステージのオーディエンスが、がっくり肩を落とし、首を傾げながら会場を後にする光景が目に浮かびます。
DISC TWO : 21:30 start - SECOND SHOW
21:30に再び登場したジミ。メチャクチャ眠たげな声で「Hello、How are you doing?」ってお前の気分はどうやら最悪だなって感じ。そんな気分にうってつけのI DON'T LIVE TODAYから2nd ステージはスタートする。本当に「今日を生きられない」と思ったかどうかは定かではないが、何が吹っ切れたかジミ。ソロではかなりアグレッシブになっている。中盤の展開からは、「おいおい!!」ってなぐらいに狂った果実になっているのだから、もう彼は腐ったミカンなんかじゃない。そう、狂ったミカンだ。そのミカンが今日2回目に打たわれた。
「Spanish Castle Magic」のイントロの元気なこと。声にも張りが戻り、ピッキングもすこぶる力強い。とても同じ日のプレイとは思えないぞ、これ。さては、1st ステージはランディ・ハンセンだったか。時間は、1st ステージよりも短いけど、中身の方はぎっしりだ。なんだか聴いてるオレまで元気になってくる始末。パソコンの前で上下に揺れる揺れる。
さらに今日2度目の「Hey Joe」E。出ました。何が出だって。ウインターランド以来の鳥肌もののイントロだ。全体の雰囲気はウインターランドを継承しているものの細かいアレンジがこれ憎いったらありゃしない。本編に入ってからも、しゃれたフレーズをキラ星のごとく随所に散りばめ耳が離せない。何より大発見なのが、オカズにかの「Day Tripper」のフレーズをさりげなく挟んでいるのだ。これにはあたしゃあ白旗上げたね。うっかりしてると聞き逃しちゃうので、耳の穴かっぽじって聴いてみよう。もちろんソロも最高。
「Voodoo Child」これもいいね〜。ノリノリだね。ソロでももう逃げない。己の道を強烈なFUZZ&WOWでズンズン突き進んでます。ノエルも1st ステージよりさらに盛り上がっているぞ。ここで初めて気付いたのだけど、ウッドストックの「Voodoo Chilld」の演奏が印象的なビリーのフレーズ。恥ずかしながらずっとビリーのものだと思ってたけど、これはノエルのでした。いやいや、ジミのアレンジでしょう。
ソロ後半は、一旦フェイド・アウトするけど、ここはしっかり戻ってロイヤル・アルバート・ホール系のカッティングで大復活!!これまた悔しいのが、ここでもさりげなく「day Tripper」のフレーズをもってきた。
アウトロかと思いきや、一気に「Sunshine Of Your Love」へとなだれ込む。ホント、いい仕事してます。ここで面白いのが「Sunshine Of Your Love」ではノエルのソロとミッチのソロがほぼ全編に渡って繰り広げられること。
ジミが戻ってくるのは最後の1分程度。まさに暖簾を下げに来たといった感じ。話は逸れるが、会場に一人おかしなヤツがいて、こいつが「Wild Thing、Wild Thing!!」ってバカの一つ覚えみたいに叫んでる。まあ、この時点での叫びなら「わかってないな〜」で済むんだけど、このバカ、ジミが姿を現した21:30にも「wild Thing!!」って叫んでるんだから、よほど無知なヤツか、嫌がらせとしか思えない。全く手におえないスウェーデン人がいたもんだ。
さて、バカは放っておいて「Red House」。これも本日2回目となるのだが、スゴイ盛り上がり方です。一体、1stステージは何だったの?ソロなんかもう、盛りに盛りあがって、完全にめくるめくブルースの世界に引きずり込まれてしまうんですから。
本日2度目のステージも終盤に差しかかってからの「Fire」。これぞ「Fire」っていう演奏を聴かせてくれています。マイクこすりつけ攻撃も1st ステージの時よりずっと決まってます。ソロでの脱線はないけど、メリハリのあるプレイでコンパクトかつクールに決めている。
待ってました「Purple Haze」。これがまたいつもと一味違う。イントロで今まで聴いたことのないフレーズを持ってきた。それが、この曲の雰囲気を崩さず、実にイイ雰囲気を醸し出してているのだ。他にも、目新しいフレーズをリフに取り入れている。ソロもいわゆるお決まりのものとは一線を画したプレイで「Purple Haze」の可能性を大いに観せてくれている。
そして最後は、「Star Spangled Banner」。ここはスウェーデンだぞっていうツッコミも何のその。アメリカ国歌ですら自分のものにしてしまったジミの底の深さが、スウェーデン国民をも虜にしている。いや〜ホントすごいっす。
随分と長く書いてしまったが、このアルバム。1st ステージと2nd ステージの差は歴然。この差を楽しむだけのために買ってもいいくらい。1st ステージを聴いたときは、このアルバム失敗だと腹をくくったけど、2nd ステージのスゴイこと。
1st ステージを観た人の「オレも2nd ステージにすりゃあ良かった」っていう声が聞こえてきそうである。
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