Personnel
: Jimi Hendrix
(vo,g), Billy Cox (b,vo), Mitch Mitchell(dr), Buddy Miles
(dr), Steven Stills (p)Steve
Winwood (g), Chris Wood (g)
Producer : Jimi Hendrix, Mitch Mitchell, and Eddie
Kramer
1971年に未完のまま発表されたジミ最後のアルバム。タイトルはジミの最後のバンドとなったクライ・オブ・ラブ・バンドからつけられた。このアルバムの製作中にジミは帰らぬ人となってしまう。そのため、ドラムのミッチ・ミッチェルとエンジニアのエディー・クライマーによってオーバー・ダブを行い、あたかもジミのニュー・アルバムのような格好に仕上げたのだ。
事実、『ELECTRIC LADYLAND』に続く4枚目のアルバムに違いないのだが、ここにはジミの意思が入っていない。エクスペリエンス・ヘンドリクスから発売されている『FIRST RAYS OF THE
NEW RISING SUN』が、もし ジミが死んでいなくてアルバム作りに取り組んでいたら、当時発表されていただろう形に限りなく近い形となっている。
本作には、ジミが70年代にステージで演奏していた曲がいくつか収録されている。「Freedom」「Ezy Ryder」「Straight Ahead」「In From The Storm」がそういった楽曲だ。
「Freedom」は、ワイト島ポップ・フェスティヴァルで機材の
調子が悪いながらも素晴らしい演奏を聞くことができるし、「Ezy Ryder」などは70年代のステージでは定番曲のひとつとなっている。ここで特徴的なのは、こうしたステージでよく演奏されていた曲が、どれもコンパクトな曲であるという点だ。どの曲をとってみても、ステージでディープな演奏を見せるものではなく、様々な展開を見せながらキレイにまとまっていく曲ばかりだ。だからなんなんだというのもあるが、とにかくそうなっている。
もしかすると、こういうことなのかもしれない。ジミという人間は、曲をステージあるいはセッションによって育てていく。
何度も何度も演奏することによって、あるひとつの原型をとことんまで崩し、そして仕舞には別の曲になってしまうこと すらある。そいしたカスタマイズの過程を見せてくれるのが、ファンにとってはステージということになるのだが、本作に収録されている曲は、まさにそうした結果の途上にあったのではないか。これから様々な変貌を遂げていく過程に、ジミはこの世を去ってしまったのではないかと思うのだ。
事実、「In From The Storm」などは、その傾向が強くみられる曲の一つである。つまり、ここに収録されている曲がステージ上でコンパクトな演奏をする曲としての印象を受ける裏には、これらの曲がまだまだひよっこだったという事実があるのではないかと、こう思えてならないのである。
ジミがこの世を去ったほほ半年後に発売された本作は、ジミのニュー・アルバムであり、追悼アルバムでもあった。 当時、ジミがまだ本作の製作に取り組んでいた頃、タイトルを『FIRST
RAYS OF THE NEW RISING SUN』にすることを考えていたという。
本作は未完とはいえ、そんなジミの態度がひしひしと伝わってくる内容となっている。クレジットされている1曲1曲が、まさにFIRST RAYSを放っているかのようにだ。
May
21st 1999 K.Seki