FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN
Official
1. Freedom 3:26
2. Izabella 2:50
3. Night Bird Flying 3:50
4. Angel 4:21
5. Room Full Of Mirrors 3:21
6. dolly Dagger 4:44
7. Eazy Ryder 4:07
8. Drifting 3:48
9. Beginnings 4:12
10. Stepping Stone 4:12
11. My Friend
4:36
12. Straight Ahead 4:42
13. Hey Baby (New Rising Sun) 6:04
14. Earth Blues 4:21
15. Astro Man 3:34
16. In From The Storm 3:41
17. Belly Button Window 3:36
MCA / MCD-11599 / 1997
Producer : Jimi Hendrix, Eddie Kramer, Mitch Michell and John Jansen

 
ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスのサード・アルバム『ELECTRIC LADYLANDの発表は、エクスペリエンス自身の進退を自らの手で決定づけてしまうほどの完成度を誇っていた。その後、ジミの志向する音楽へと近づこうとする過程で、ジミや彼を取り巻く環境はめまぐるしく変わり、同時にコンポーザーとしての色を強めていくことになる。
 エクスペリ
エンスとして3人ユニットで演奏してた当時、そこにはジミのギターが2人分3人分のサウンドを生み出すために、まさにどこから力が加わっても変形しない強固なトライアングルを保持しているように見えたが、ジミ自身はあくまでもジャムやバンドというものにこだわっていたのだ。その結果、ウッドストック(1969年8月18日)ではあからさまな方向転換を図ったが、これはむしろ数の上での論理は志向する音楽に直結するものではないことを気付かせたようなものだった。
6人というかつての倍のメンバーで望んだウッドストックでの演奏は、結果的に歴史に残る名演として今でもジミの最も有名な
ステージの一つとして認知されているのだが、ジミにとって必ずしも成功と言えるものではなかったのではないだろうか。
 本作
FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』は、ジミが次の大きなアップグレードを図ろうと模索し、意欲的に新しいサウンドに取り組んでいた時期を包括的に収録したような内容だ。文字通り、新たな夜明けを告げる最初の光の束を結集したと言っていいのではないか。
 このアルバムタイトルは、生前のジミが4枚目のアルバムのタイトルとして考えていたもので、その遺志は彼の死後30年近くを経た1997年になってようやく受け継がれることになる。このアルバムをなぞろうとしたアルバムは、ジミの死後直後から発表されており、最初が
RAINBOW BRIDGE』(1971年)。これは、同タイトルの映画のサントラ版として発表されたものの、その実当のライブ音源は収録されておらず、実質的には『FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUNのために用意していた曲を収録することになった。
 次は、時代は一気に飛んで
VOODOO SOUP』(1995年)である。こちらは、かのアランダグラスが、ジミの版権が家族の元へ戻る前に、彼のスーパーバイジングによって作り上げた渾身の一枚だ。今までのジミ不在なアルバム作りを詫びるかのように、ジミが構想していたアルバムに近づけようとした志が見える。ただ、いかんせんマスタリングに大げささが残る。形の上ではジミの遺志を忠実に受け継いでいるかのように見せているが、中身の方はやはりジミ不在な感は否めないといった感じ。
 そして、満を持して登場したのがエクスペリエンス・ヘンドリクスのプロジェクトの一つだった『FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』である。言うなれば血統書付きのアルバムと言ってもいいのではないか。この時期に発売されたために、収録されている曲は、ほとんどが70年代のジミのステージではお馴染みのものとなっているが、今になって限りなくオリジナルに近いスタジオテイクを突きつけられるのは、今までの「オリジナルからの変化(アレンジ)の過程」を楽しむのとは正反対のアプローチであり、逆走の楽しみがある。
 はたして、このアルバムがジミが実際に参加して作り上げただろう『FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』にどれほど肉迫しているのかは、誰も分からないことなのだが、僕はこのアルバムが発売された当初、ジミのニューアルバムが発売されたという感覚を味わうことが出来た。
  マスタリングも、さすがロジャーメイヤーと並ぶジミ・サウンドのオーソリティが全面的に関わったこともあり、ジミの魅力を失うことなくうまく施され、そして一方ではジミのソングライターとしての才能も見事にファンの元へ届けることに成功している。

 言ってみれば、このアルバムの発表は、ジミの死後数多く世に送り出されてきたアルバムの歴史に一つの大きな節目を与えることになったのではないだろうか。それほどの完成度を持ったこの作品は、ある意味『ELECTRIC LADYLAND
に匹敵するポテンシャルを持っていると言えそうだ。

March 20th 2000
K.Seki


CD : EXPERINCE HENDRIX / MCA RECORDS MCAD-11599 (USA/1997)
CD : EXPERINCE HENDRIX / MCA RECORDS MCA-11599 (UK/1997)
CD : EXPERINCE HENDRIX / MCA RECORDS MVCE-24031 (JAPAN/1997)

本アルバムに収録されている音源の録音場所及び日付は以下の通りです。

1) Freedom : Electric Lady Studio in New York, June 25th / July 14th / August 24th 1970.
2) Izabella : Record Plant in New York, January 17th 1970.
3) Night Bird Flying : Electric Lady Studio in New York, June 16th 1970.
4) Angel : Electric Lady Studio in New York, July 23rd, 1970
5) Room Full Of Mirrors : Record Plant in New York, November 17th 1969.
6) Dolly Dagger : Electric Lady Studio in New York, July 1,15,19 and 20 1970.
7) Ezy Ryder : Record Plant in New York, December 18th 1969.
8) Drifting : Electric Lady Studio in New York, June 25/29, July 23, August 20 1970.
9) Beginnings : Electric Lady Studio in New York, July 1 1970.
10) Stepping Stone : Record Plant in New York, January 7,17 and 20 1970.
11) My Friend : Sound Center, March 13, 1968.
12) Straight Ahead : Electric Lady Studio in New York, June 17th, 1970
13) Hey Baby (New Rising Sun) : Electric Lady Studio in New York, July 1 1970.
14) Earth Blues : Record Plant in New York, December 19th 1969.
15) Astro Man : Electric Lady Studio in New York, June 25th,July 19th and August 22 1970.
16) In From The Storm : Electric Lady Studio in New York, July 22nd and August 20/24 1970.
17) Belly Button Window : Electric Lady Studio in New York, August 22 1970.
ALBUMS