Personnel : Jimi Hendrix (vo,g), Billy Cox (b,vo), Noel
Redding (b,vo), Mitch Mitchell(dr)
Producer :
Eddie Kramer, John Jensen
このアルバムは、上記の曲目及び( )内のメモを見ていただければもうお分かりのように、1969〜1970年のライブからピックアップしたライブ・コンピュレーション・アルバムである。
3ステージ(正確には4ステージ)からフィルターにかけたように抽出されてきた8曲は、いずれも香り高いエスプレッソのごとき濃厚な味わい深さを僕たちファンにお届けして止まない。
よくもまあ素晴らしいパフォーマンスを見せてものである、「Johnny B. Goode」。この曲をジミがステージで演奏するのは、非常にレアなことなのだが、幼い頃からR&Bに慣れ親しんできたジミにとっては「久々に弾いてみますか」といったノリではなかったか。
ジミが他のアーティストのナンバーをカバーする時、そこには大きく2種類の手法がみられる。いや、手法というのは適切な表現ではないのかもしれない。なぜなら、ジミがそんな意図を持って、カバーをしているとは考えにくいからだ。と、断りを入れておいて、一つめの手法は、組み上がった積み木を一度崩壊させ、新たに好き勝手組み直すといったやり方。この手法で最も特徴的な例を挙げれば、「Kiiling Floor」や「Rock Me Baby」と言えそうである。「Killiing Floor」ならばハウリン・ウルフ、「Rock Me Baby」B.B.キングのオリジナルを聴けば、その違いはもう歴然である。もはや別の曲と言ってもいい。実際、別の曲(自分の曲)にしてしまうことすらあるのだから。「Lover Man」がそのいい例。
そして、もう一つ。こちらは、あくまでも原型を大切にしつつ「ジミらしさ」という装飾を施すもの。「Johnny B. Goode」の演奏はまさにこれではないかと思うのだが、どうだろうか。この曲が本来持っている浮き立つような楽ししげなリフとノリをそのままに、そこにいかにもジミらしい力強くも繊細な音を散りばめる。なんとも素晴らしい演奏ではありませんか。おまけにアウトロでは、歯弾きをみせてくれる。至りに尽くせりである。お腹一杯である。このアルバムの魅力の50%は、一発目の「Johnny B. Goode」にあると言ったら買い被り過ぎかも知れないけども、それぐらい言わせてくれよってぐらいの強烈なインパクトを持っていることに違いはあるまい。ホントに。
さて、ずいぶんと「Johnny B. Goode」を熱く語ってしまったが、他の曲もみていこう。まずは「Lover Man」。こちらは、前にも触れたようにB.B.
キングの「Rock Me Baby」が進化を重ねてジミの曲となったもの。ライブでは定番中の定番。ステージでのヘビーローテーションの中では、最もコンパクトに演奏される曲だ。
続いて、「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」。ワイト島ポップ・フェスティバルからのテイクだ。実際のステージでも英国国歌に続いて演奏されたビートルズのナンバー。ステージではそのまま「Spanish Castle Magic」へと突入していくのだけど、ここでは未練タラタラに余韻を残しつつフェイドアウト。残念。無念。
いよ〜!!待ってました、「Little Wing」。ステージではほとんど演奏しないが、アルバムで十分満足。何度も聴いてください。味わってください。この哀愁を。わずか3分18秒に、ジミのブルース魂がキレイに織り込まれ、渋い光を放っているぞ!!27歳にしてこの燻し銀。早過ぎる。ちなみに、この「Little Wing」と「Voodoo Child」はサンディエゴ・スポーツ・アリーナでの音源としてクレジットされているが、本当はロイヤル・アルバート・ホール(1969年2月24日)での演奏。何でも、ロイヤル・アルバート・ホールのテープの所有権を他のレコード会社(エンバー・レコード)に握られていたために、わざとクレジットを変えたというのだからブートなみの強引さである。バレたけど。
そして、最後はR「Red House」でキマリ。こちらはホントにサンディエゴの演奏。ややスローなバージョンで渋いフレーズを余すところなく聴かせてくれている。さすが、ギターをかたときも離さなかった男のプレイだ。何度も弾き込まれた曲だけに王者の風格が漂う。ソロからの盛り上がりは耳が離せない。歩まず走リ過ぎずといった風にキレイにまとめあげている。
今では廃盤のこのCD。まだまだオフィシャル盤としてジミのライブ音源が出回っていなかった当時、このアルバムの発売がファンののど元がいかにくすぐったか、それは皆さんのご想像にお任せしよう。
June
4th 1999 K.Seki