Personnel
: Jimi
Hendrix (vo,g), Billy Cox (b,vo) Noel Redding (b,vo), Mitch
Mitchell(dr), Buddy Miles (dr)
Producer : Jimi Hendrix, Mitch Mitchell, Eddie Kramer,
John Jensen
映画『RAINBOW
BRIDGE』をご覧になったことはあるだろうか。そして、頭上に浮かぶ無数の?を拭い去ることができないままエンドマークを静かに見送った経験はないだろうか。そうなのである、本作の元ネタとなるハワイで行われたライブを収録した映画『RAINBOW BRIDGE』は実にしっくりこないものなのだ。
サイケ色たっぷりのオープニング映像とともになだれ込んでくる「Earth Blues」のクールさに驚いたのも束の間、そこから始まる世界はめくるめく、そして果てしなくダウナーなヒッピーたちのうつろな私生活とでも言ったらいいだろうか、そんなのである。
ジミ?なかなか出てこないね〜。また、中盤あたりからジミも登場するんだけれど、いかんせん酔ってるし、キマってる。これがまたニコニコだ。いつにない上機嫌てヤツ。
ジミのパフォーマンス。これが拝めるのは、いよいよ映画(?)も終盤を迎えた最後の20分ほどのささやかな時間帯である。おいおいこのまま終わりかい?なんてガッカリしてると、ジミが仮面ライダーを彷彿させる衣装に身を包んでご登場とあいなる。そして、この映画を観る者はここで初めて安堵感に浸ることになる。火山の頂上に映画の撮影のためにセッティングされたネコの額ほどの小さなステージで、ジミは山頂に吹き荒れる強風にさらされながら、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのだ。会場に集まったヒッピーたち。ある者は踊り。またある者は耳を澄ましてジミの紡ぎ出す至高のサウンドに舌鼓を打つ。と、こんな具合。
さて、そんな奇妙な映画のサウンド・トラックとして1971年に発売されたのが、ここで紹介する『RAINBOW BRIDGE』。
ところが、こいつはそれはそれは怪しい物件なのだ。ジャケット写真もさることながら、「ORIGINAL MOTION PICTURE
SOUND TRACK」という触れこみもなんのその、収められている曲はまるでライブ音源ではない。おい、あんなにジミさんは演奏していたじゃねーですかってなもんである。
で、結論を申しますと、本作品に収められているのは他でもない映画の中で確かにちょこっとは流れるスタジオ・テイクたちなのだ。不思議である。そして、ここにきて「何でいライブ は聴けんのかい」と、こうなる。
ジミの死後すぐに発売された『CRY OF LOVE』に続く作品となる本作には、ジミが構想を練っていた4枚目のアル
バム『THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』に収録されたであろう曲がいくつかみられる。
ジミの思いは、はかなくも『CRY OF LOVE』と『RAIBOW BRIDGE』という2枚のアルバムに分断された格好で受け継がれたのだ。かわいそうなジミ...「Dolly Dagger」「Earth Blues」「Room Full Of Mirrors」「Hey Baby(New Rising Sun」がそんなところ。
いずれもライブではお馴染みの曲である。
そして、ここで個人的に特筆しておきたいのが「Earth Blues」と「Star Spangled Banner」の両曲。
「Earth Blues」は冒頭でも触れたように映画のオープニングにガツンと来るクールでホットなナンバー。簡単に言うと「Message To Love」系の雰囲気を持った「コンパクトに演奏してもよし、ディープに演奏してもよし」といった感じの当時のジミらしい曲。ステージでは「ウインター・カーニヴァル・フォー・ピース」(1970年1月28日)でかなりディープでダウナ
ーな演奏を披露している。ブートで出てるので見つけたら聴いてみるといいかもしれない。かなり、ヘビーだけど。
それからもうひとつ、「Star Spangled Banner」。そうです。ウッドストックでの演奏、あれは印象的です。蒼天の下で繰り広げられるストラト・マジックとでも言っておきましょうか。皆さんにとっても忘れることのできないプレイのひとつでございましょう。
本作にも収録されていますよ。皆さんの期待に背くチープな「星条旗よ永遠なれ」が。スタジオでやってしまいましたよ。おそらくジミはお遊びでやってみたんでしょうけど、関係者各位が余計な親切心を働かせてクレジットしてしまいました。「ウッドストックの感動をもう一度」ですか?するかそんなもん!! と一発怒鳴ったところで、本日はおあとがよろしいようで。
May
28st 1999 K.Seki