1969年、ウィーンでの2回のステージを収録したアルバムだ。彗星のごとくブート界に現れたDANDELIONレーベルが
放つ、思わず飛びついてしまう一品である。
ジャケットの方も、いかにもブートらしいイイ加減さというか、ワイトでも食らえといった常套手段に訴えず、凝った作り
となっているのがウレシイ。やっぱりこれからの時代、こーでなくてはならないと思う。
確かに、ウッドストックとワイトのジミの姿には強烈なインパクトがあることは確か。ファッションについて言えば、ウッド
ストックでは、あまたのフリンジが垂れ下がるネイティヴ・アメリカン調に、モカシンというそれはそれはアメリカン人の感性をくすぐる
ものだったし、ワイトに至っては「とうとうジミもおかしくなっちまった...」と思われても致し方ないようなサイケ度120%の
もうこれは衣装というよりはコシュチュームと言った方がはるかにしっくりくる出で立ちである。前者はかろうじて町中を
歩くこともできるだろうが、後者についてはこれははなはだ頭のイカレタ格好だ。捕まるぞってぐらいの。もう黒人どうのというレベルは、遥か昔にすっ飛んでしまっている。
しかし、これら共通するインパクトは何も衣装に限ったことではない。そう、頭である。ヘッドである。あのヘア・スタイルはいずれも強烈なインパクトを持って余りあったぞ。ウッドストックにおいては、かの「マッチ
棒頭」での登場である。黒人特有のアフロに、見事なまでの丸みを施し、そしてバンダナでしっかりと押さえつけるあの
髪型である。おまけに、両耳にはピアスときたもんだ。ここまで来ると、もはや時代を虜にしたギター男転じて、オカマ
バー「RED HOUSE」の店主といった風情である。ゲイバーではないところがミソだ。
そして、ワイトのヘア。これについては、以前にも触れているが、何度でも言いたい。口が酸っぱくなるほど言いたい。
ワイトの場合は、ウッドストックとはずいぶんと様子が違うことはファンなら誰もが認めるところであろう。あの、ボサボサ
状態である。1969年夏にあれほど見事なアフロだったジミに何が起こったか定かではないが、ワイトのヘアはもう何も
手を加えていない言うなれば、ナチュラル・ヘアである。そこに持ってきて、伸ばしたい放題の長髪気味なんだから、益
々オカマ度に磨きをかけている。もう店主なんてケチなもんじゃない、新宿を筆頭に数件のオカマバーを展開するエグゼ
クティブの様相さえ漂う。やはり、ゲイバーではない。残念だが。
すみません。どうしようもなく脱線してしまいました。まるで、ロイヤル・アルバート・ホールの「Stone Free 」 かのようにだ。
さて、このアルバム。一曲目の「ome On [Part One]」は相変わらず結構なものを聴かせてくれます。場所がオ−ストリアだけに
観客が何を口走っているのかは皆目見当がつかないが、とにかく盛り上がっていることに間違いはなさそうである。
珍しく2曲目に持ってきた「hey Joe」でも2回目のソロでは歯弾きを披露するほどの上機嫌。続いて「Getting My Heart Back Together Again」
では、またも浮かれた観客が「Voodoo Child!!」とアピール。この段階でやるわけねーだろっ!何度も言わせんな!
注目は、「Spanish Castle Magic」か。ソロに入ってからの演奏は、69年代らしいほとばしるフレーズの嵐。中盤には、入り過ぎている自分にふと気づいたのか、ブレイクからカッティングで渋めにこなし、ミッチにお鉢を譲る。
1st Showが「Come On [Part One]」で軽快な出だしなら、2nd Showは「Are You Experienced?」というヘビーかつ珍しい選曲であ
る。「Lover Man」と言えば、70年代までステージでのヘビーローテーションとして演奏されており、しかもソロなどは、
ほとんどいじらずコンパクトにまとめられる曲として定着しているが、ここではかなり崩した演奏が聴ける。これも珍しい。というより、あの定番とも言えるソロが完成する前の演奏といった方が正確だろう。アウトロは特に、「Rock Me Baby」とも違う、珍しいフレーズを聴かせてくれる。3分弱で切り上げることの多い「Lover Man」にあって、5分とは
ウレシイ限りだ。
ちなみにこのアルバムについて言うと、1〜9が1st showで、10〜13が2nd Showからのテイクとなっている。
2nd Showがやや曲数が少ない気がするが、完全版である。