Personnel : Jimi
Hendrix (vo,g), Billy Cox (b), Mitch Mitchell(dr)
Producer : Under the supervision
of Alan Douglas
ワイトと言えば、ビデオをご覧になった方ならご存知の通り、ジミの髪型が非常に面白い。サイケ色たっぷりのあの衣装もすさまじいものがあるが、いつも割と奇抜な衣装に身を包んでいるジミなので、それほど驚くに値しない。そこで髪型である。ありゃあ何て言うか、おしゃれなのだろうか。僕にはおばさんに見えてしょうがないのだが。その演奏だけではなく、MCやパフォーマンス、そして衣装など、何かと話題を提供してくれるジミが、ワイトではヘアーカットで目を奪ってくれた。おばさんチックで一昔前のカツラのようなガッシリと固まった感じは、見事なパフォーマンンスである。まだ見てない人は、是非チェックしてみて欲しい。笑えるから。
さて、そんな愛嬌いっぱいのジミ。演奏の方でも素晴らしいものを見せてくれている。
まずは「God Save The Queen」である。本来ならば、つづいてビートルズのカバー「Sgt. Pepper's Loney Hearts Cub Band」 をガツンとやってくれているのだが、本作ではカットされている。
よって、「Message To Love」となるのだが、この日の演奏は数ある「Message To Love」の中でも1位2位を争う内容ではないだろうか。ウッドストックの演奏と対極にあるようなワイトでの「Message To Love」 は、70年代らしい独特の雰囲気を持って演奏されている。特にソロ部分は信じられないようなストーリー性があり聴くものをぐんぐんと引きずり込んでいく。
そして、お待ちかねの「Voodoo Child」。こちらはどうも調子が出ないらしい。イントロは良かったのだが、歌に入るやいなやのっけから音を外してしまう。そこで、仕切りなおしとばかり、適当なフレーズで繋ぐのだが、これが実にカッコイイのである。「Hey Joe」などでも使われているジミの持ちネタの一つを上手いこと取りいれている。しかし、サウンド・コンディションがどうも悪く、中盤からダラダラとエンディングを迎えてしまう。ビリーやミッチは戻ってきてくれることを信じて地道に演奏イしているのだが、ジミはとうとう戻って来てくれない。
「Machine Gun」 は、本作では12分37秒に編集されているが、実際は23分以上の長い演奏である。後期のジミを最も分かりやすい形で表現してくれるのが、この「Machine Gun」ではないだろうか。いつかジミはこんなことを言ったことがあった。「一つのフレーズを何度も繰り返す内にオーディエンスはどんどん引き込まれていくんだ。それが、エレクトリック・チャーチ・ミュージックなんだ。」この言葉の通り、「Machine Gun」は、繰り返されるフレーズの緩急や起伏が徐々に聴く者の耳を奪い、そしていつのまにかとてつもないサウンドの渦へと巻き込んでいく。まるで、大蛇が獲物をじわじわと締めつけていくようにだ。
お次は一転、軽快な展開が気持ちイイ「Doly Dagger」。ジミはこれをフライングVで演奏する。ステージではあまり登場しないこの曲は要チェックだ。
さて、最後はお馴染みの「Hey Baby」。この曲には、哀愁という言葉がよく似合う。3週間後にこの世を去ってしまった悲しい事実が、この曲を聴いていると益々感慨深いものとなって迫ってくる。
ワイト島フェスティバルの様子は、現在でも販売されているビデオで楽しむことができる。そして、そこにはCDでは知ることのできないこの日のジミの姿が印象的に映し出されている。僕がまだジミを聞きかじっていた頃、このビデオはあまりにヘビーで、モンタレーの衝撃とはまた違ったずしりと重い何かを感じた。それは、必ずしも英国最後のコンサートだからという理由からではないような気がする。もしかすると、丸裸のジミを見てしまったというショックに近いものだったのかも知れない。ワイト島は是非、ビデオでも鑑賞してみて欲しい。ジミに対する認識を変えてしまうほどのインパクトをこのビデオは孕んでいるはず。
May
14th 1999 K.Seki