Personnel : Jimi
Hendrix (vo,g), Noel Redding (b), Mitch Mitchell (dr)
Personnel : Guest
: Jack Cassidy (b), Virgil Gonzales (flute), Herbie Rich (organ)
Producer : Alan Douglas, Chip Branton
1968年10月10日(木)〜12日(土)の3日間に各日2ステージが行われたアメリカはサンフランシスコ・ウインターランドからのテイクだ。オフィシャルの世界では、67年のモンタレー、68年のウィンターランド、69年のウッドストック、70年のワイト島といった各年代のジミを象徴するようなライブのひとつではないだろうか。
僕がこのCDを手に入れた頃は、まだまだジミ・フリークとしては駆け出しで、モンタレーの「Killing Floor」に脳天を貫かれて以来、「Killing Floor」の別テイク探しに躍起になっていたものだ。そんな折、ピカデリー・サーカスのタワー・レコードで手にしてからというものしばらくはこのウインターランドにどっぷりとはまっていたのを憶えている。
もちろん、このアルバムの魅力が「Killing Floor」だけにあるわけではないのは言うまでもない。むしろ、あまりの素晴らしい演奏の羅列にどこからメスを入れていけばよいのか窮するところである。そんわけなので、ここでは独断と偏見に基づいて、いくつか突出したテイクを取り上げたいと、こう思う。
「Manic Depression」は、ライブで演奏するのは珍しいナンバーだ。ファースト・アルバム『ARE YOU EXPERIENCED』にクレジットされて以来、なかなか生の演奏を聴くことはなかったが、アルバム・バージョンが編集版ならこちらでは完全版を聴けたといった感じ。演奏時間も長く、本来の姿が明らかになったと言えそうだ。
ゲストとして参加したジェファーソン・エアプレーンのべーシスト、ジャック・キャサディの演奏がまた一味違うテイストを吹きこんでくれているのが「Sunshine of Your Love」。中盤からのジミとの絡みは、興味深い。ノエルもさることながら、さらに野太いベースラインは存在感をアピールするに十分。
自分の中では、モンタレーの次に来るウインターランドの「Killing Floor」。モンタレーを彷彿させる小気味いいカッティングからスタートするが、こちらはややパワーを押さえて、テンポもやや遅くしている。基本フレーズはテンポこそ落ちるもののそれほど手を加えてはいない。一方、ソロは絶品である。モンタレーよりもずっと長めに、しかもじっくり弾き込んでいる。緩急もあり、後半のジャック・キャサディとのお遊びも面白い。モンタレーがかなりコンパクトで、どちらかと言うと力で観衆を一気に打ちのめした演奏なら、ウインターランドはジャム度が高くジミのアレンジ・センスが随所に光る濃厚な内容だ。
イントロ部分はもはや「ウィンターランド・バージョン」で合意が得られるほどのインパクトを持つ「Hey Joe」。その後の「Hey Joe」は、基本的にはいきなり突入することでオーデイエンスの耳目を一気にさらうということが多くなったが、ウインターランドではインプロで観客に無数の?を与えることによって「Hey Joe」のフレーズと同時に静かに「はかなくも力強い」Hey Joeワールドへと誘うことに成功している。ほとんどマジックとも言えるこの手法は、あまりの完成度の高さに、そう何度も繰り返せるものではないが、それだけに強烈なインパクトを持ってファンの耳にいつまでも棲みついているはずだ。
歴史的な名演揃いのウインターランド。たまには素晴らしい働きをしてくれるアラン・ダグラスの、その傑作の一つであることは言うまでもない。オフィシャルではモンタレーに次ぐ、ライブ・アルバムとなった本アルバムだが、この系統策は見事にファンの心を捉えたのではないだろうか。「いい仕事してますね〜」って感じ。
August
22th 1999 K.Seki