驚愕白鳥

オリジナルソフトとしての期待を一身に受けたのがこのソフト

構想を含めて2年の開発期間を経て登場したのが、この作品である。

当時、圧倒的なスペックを持つGBAを前に劣勢を強いられていたWSC陣営にとって、 バンダイ製の大型オリジナル作品を製作し発売することは非常に意味深いことであったといえる。 特にキャラゲーの売り上げも頭打ちしていただけに、このソフトの売り上げ自体が今後のWSCの方針を決めることになった、といって差し支えなかろう。

メディアがROMカートリッジにも関わらず(CDなどに比べてコストがかかる)、体験版を配るなどバンダイもこのソフトに賭けていたのだろう。 明らかに今までのソフトとは違う姿勢でこのソフトはリリースされたのであった。

しかし残念なことに売り上げには繋がらず、結果としてバンダイは以降、完全に保守的な戦略へと移行していったのだが…。

偉大な方との比較はやめよう

ジャンルがアクションRPGとくればどうしてもあの偉大なる傑作のゼルダの伝説と比べられてしまうことはしょうがない。 だがそれは横スクロールのアクションゲームとスーパーマリオを比べたり、見下ろし型のRPGとドラゴンクエストを比べるのと等しいのではないか。 決してスターハーツはゼルダの伝説の焼き増しや劣化バージョンではなく、毅然とした違いがある。

確かに製作サイドがゼルダの伝説を意識しなかったといえば嘘であろうが、 比較するよりゼルダはゼルダで、スターハーツはスターハーツで楽しければそれで十分なのではないか。 どうも他のジャンルに比べて2DのアクションRPGは見方が狭い気がするが、スターハーツにはゼルダとは別の良さが介在しているのである。

素晴らしい世界観に、それを裏付けるグラフィックとサウンド

ビジュアルデザインの総監督に起用されたのが知る人ぞ知る横山宏氏。 彼は海外でも高く評価されているイラストレーターで、 彼の手で作り出された世界観は非常に素晴らしいものとなっている。 ただ単に美麗とかそういう単純なものじゃなくて、 もっと温もりを感じるような質感を持った世界観なのだ。

そして本作品はその世界観をしっかりとゲーム上で表現できている。 質感のあるグラフィックと、そして良く出来た雨の音や風の音などの効果音(ヘッドホンアダプタ必須)が、世界観を表現しているのだ。

そのため先に進むのが楽しい。爽やかな風景からよどんだ風景まで様々な風景を楽しみながら進むことが出来るのだ。

非常に細やかな作り

本作品はグラフィックなどの他にも非常に細かく作られているのが特長だ。 ストーリーと関係ない部分でも凝っている部分が非常に多く、一度のプレーで全てを体験するのは不可能なほどだ。 説明し始めると長くなるので割愛するが、一つだけそれを端的に証明するものを示しておこう。

ゲーム開始時に年齢と性別が選択できるが、試しに年寄りの女性に設定してみると村の人々のコメントが全然変わってくるのである。

恐らく私が知らないことも山ほどあるだろうし、ストーリー本筋とは違うところでかなり作りこまれているという印象だ。 恐らくやり込めばやり込むほど次々と新しい発見が待ち受けているだろう。

前述の通り、世界観に大きな特徴を持ったゲームであり、それを散歩するように歩き回りながら、様々なことを「試して」みるのがこのゲームの面白さなのだ。

勿論、欠点もある

まず何と言っても戦闘が単調なことは残念だ。ほとんど武器を振り回しているだけになってしまう。 武器の種類の多さも魅力の一つだが、一つ一つに特長があればまだしも、そこまで使い分けることなくクリア出来てしまうところ辺りにこのゲームの詰めの甘さを感じる。 つまりアクションRPGのアクションの面でいまいち面白さが足りないのだ。 強いて言えばアクションの面がオマケに近いのだ。

そしてアクションだけに限らず、風呂敷を広げすぎたためにところどころに詰めの甘さを感じる。 細やかな仕事をした点は大いに評価できるが、それと正反対のように詰めの甘さを感じるところもあるのだ。 この仕事っぷりが完璧であれば恐らくWSの枠にとどまらない名作にすらなり得たのではないだろうか。 そこが非常に残念ではある。

のんびりと楽しむ良作

本作品に何を期待するか、ここが評価を分かつ一番のポイントになるだろう。 前述の通り、ゼルダの伝説と比較してしまうと今ひとつ、という印象に収まってしまう可能性がある。

しかし私はこのソフトの世界観を楽しんでほしいと思う。 世界観を楽しみ、そしてその過程でいろいろな試行錯誤を繰り返し、新しい発見を生み出していく、そんな楽しみ方がベストなのだ。

そういう意味では少々のんびり遊ぶ人にこそピッタリなのではないだろうか。 のんびりと世界観を楽しみ、のんびりとやり込んでみるようなそんなゲームなのだから。

ちなみにスワンクリスタルで遊んだ方がはっきりくっきり遊びやすいのは事実だが、 敢えてワンダースワンカラーで遊ぶことで優しい色使いが味わえることも付け加えて、 このレビューを終了させることにする。

このソフトレビューに対してメッセージを送る